アスファルトは、石油製どろどろした工材です。
よくコンクリートと同じもののように思われますが、コンクリートは砂と砂利をセメントと練り合わせたものなので、全くの別物です。
気づかないかもしれませんが、アスファルトには種類にも舗装方法にもさまざまな種類があります。
今回はアスファルト舗装のバリエーションについてご紹介します。
これからアスファルト舗装を取り入れようと考えている方は、それぞれの種類や工法の知識を身に着けて、自分の希望に合ったものを選んでみましょう。
道路や駐車場の舗装アスファルトが使われている理由
道路や駐車場には、コンクリート舗装よりもアスファルト舗装の方が多く使われているということをご存知でしたか?
アスファルトが良く使われるのには理由があります。
まずは、アスファルトの用途と使用されやすい理由についてご紹介します。
様々な用途で使用されているアスファルト
本来アスファルトとは石油を精製してとれた重質油のことで、JIS規格があります。それに骨材や砂などを混合したものをアスファルト混合物と呼びます。
アスファルト混合物(アスファルト合材)は骨材の粒度によって区分され、「密粒度」「細粒度」「開粒度」などに分かれています。
さまざまな種類があり、それぞれ用途ごとに長所があります。
・道路舗装材…アスファルトに砂利や砂、フィラーなどを混合したアスファルト・コンクリートで、舗装に用いられます。水とアスファルトを界面活性剤を使って混合させたものです。
・乳剤……道路舗装の基層や表層の施工のとき、防水効果や接着促進のために使います。
・防水材……平屋根の防水工事に使われます。繊維にアスファルトを浸透させたアスファルトフェルトや、ゴムなどを加えた改質アスファルトがあります。
・緩衝材……和式の便器を埋め込んだ部分の衝撃緩和などのために使われています。
路や駐車場に多く使われている理由
道路の舗装にアスファルトが多く使われる理由については、いくつかの長所が関係しています。
・工事費が安い
・騒音が起きにくい
・水をよくはじく
・施工してから固まるまでの時間が早い
経費も安くなり、工事が早く終わるうえ、施工後の状態も良いという特徴があり、とても優れモノなのです。
しかし、そんなアスファルトにも欠点はあり、耐久性はコンクリートにかないません。
アスファルトはコンクリートよりも消耗が激しいため、五年に一度程の頻度でオーバーレイという工法で補修を行わなければなりません。上層部を削り取り、その分新しいものを上乗せします。
アスファルトはときに街並みを味気ない景観に変えてしまうため、石畳などが残る場所には使われにくい傾向にもあるようです。
最近ではアスファルト混合物を使った大理石や石畳風の舗装材も生まれるなど、もとの材料の機能性や強みを生かす工夫がされています。
道路に使用されているアスファルト舗装の種類
アスファルト塗装というと、黒くてどろどろした工材をたんに地面に敷くだけだと思っていませんか?
実は、アスファルトには塗装の方法にもさまざまな種類があります。
意外に奥が深い、アスファルト道路の塗装の種類について見ていきましょう。
県道や市道で多く使われている密粒度アスファルト舗装
日本国内の県道や市道のほとんどで使われている舗装方法です。
施工が簡単なので工期を短縮することができ、コストカットにつながります。
また、維持管理・補修も簡単といった点でもコストが低く済み、舗装には手軽な工法になります。駐車場などに広く使われています。
高速道路や国道で多く使われている排水性アスファルト舗装
上部に透水性のアスファルト、下部に非透水性のアスファルトを敷き、その2つの層の間を雨水が通って排水されるという仕組みです。
水のせいでタイヤと地面との摩擦が起きづらくなりハンドルやブレーキが利かなくなるハイドロプレーニング現象の防止にもなります。
走行安全性が上がるうえ、車内のロードノイズを軽減させることもできます。
山道や事故の多い場所で使われている高密度ギャップアスファルト舗装
事故の多い交差点や山道などに使われる工法です。
加熱アスファルト混合物という、ギャップ粒度を配合した特殊なアスファルトを使っています。
ギャップ粒度とは様々な大きさの材料を混合してスベリの抵抗を高めるもので、それにゴムや樹脂を加え、さらに滑りづらくなっています。
ブレーキをかけた時の停止距離が短くなるのが特徴です。
歩道や駐車場などで使用されているアスファルト舗装の種類
歩道や駐車場などに使われているアスファルト舗装は、車道に使われているものと少し違います。
普段何気なく歩いている道の下にも、生活や環境の問題に対応した画期的な手法で引かれたアスファルトがあるのです。
どのような工夫がされているのか見ていきましょう。
水分が地中へ還元される透水性舗装
透水性アスファルト舗装は、排水性舗装と似て非なる工法です。
コンクリートは密度の高い材料ほど耐久性が高く高質とされていますが、この透水性舗装ではあえて粗い材料を使いアスファルトに隙間を生むことによって雨水をしみこませ、地面の下へ浸透させることができます。
比較的安価に施工でき、雨水を地面の下に逃がすことができるので側溝などの氾濫防止や水たまりの防止などに効果的です。
一方、勾配がある場所では、アスファルト下に浸透される雨水が土壌を洗い流すことによって、強度不足になる可能性もあります。
水分の蒸発で気温上昇を抑える保水性舗装
補水性舗装では、水分を吸収する材質をアスファルト内部に重鎮します。
雨が降るとアスファルトの中に浸みこんだ水分が材質に吸収されます。雨が止んで気温が上がると、吸収された水分が蒸発する仕組みです。
打ち水などと同じ気化熱によって路面温度の上昇を防ぐことができるというのが大きな特徴です。郊外よりも都市部の気温が異常に高くなるヒートアイランド現象は、アスファルトやコンクリートが熱を溜め込むことで引き起こされると言われますが、この方法で緩和できる可能性があるとも考えられています。
道路、駐車場、公園まで幅広い用途があります。
バリエーション豊かなたカラーアスファルト舗装
顔料や着色した石などを混ぜ合わせた舗装をカラーアスファルト舗装といいます。
本来無機質な色合いのアスファルトを着色することによって、景観がよくなるだけでなく、高速道路などで路線の区別のためにも活躍しています。
トンネル内でよく使われる白色の他、赤・黄・緑などさまざまな色合いがあります。
また、薄層舗装というものを普通の塗装の上にかけることによって着色をする方法もあります。こちらもカラーバリエーションが豊富で、ソフトな歩行感や耐衝撃性、すべりにくいといった特徴もあります。
まとめ
道路を作るうえでアスファルトがなぜ主要な材料になっているのか理解していただけましたか?
・強みは、費用軽減、騒音防止、防水性、敷いた後から通行可能になるまでの時間の短さ
・舗装方法を選択すれば、水はけの改善や道路の表面温度の緩和など、生活や環境問題にも対応できる
・景観や路線の区別のために色つきのカラーアスファルトもある
これからアスファルトを敷いてみようと思っている方は、それぞれのアスファルトの特徴やバリエーションを押さえて、自分の希望に合った舗装工事をしてみましょう。